【連載】Boss田島の紐育紀行 No.1

・NEW YORK NEW YORK
・MANHATTAN
・AUTUMN IN NEW YORK
・CENTRAL PARK NORTH
・BIRDLAND
・TAKE THE A TRAIN
・HARLEM NOCTURNE

これらは、皆さんもよく耳にするであろうNEW YORKに由来する曲だ。自分自身よく聞くし、演奏もする曲でもある。

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そもそもの発端は、昨年の暮れ、ドラムの泉水君による 『ボス、ニューヨークに行きましょう』 の一声からだった。

思い返せば、小学生の時に東京放送(今のTBS)の深夜放送『ENGLISH HOUR』のテーマ『LINGER AWHILE』でJazzを知り、中学生で親戚の家で『West Coast Jazz』に触れ、高校生で新宿の高級クラブ『コンセール』でBig Bandを聴き、姉の持ってきたレコードのCriford Brownを愛し、それ以来Jazzと共に過ごした人生であったが、しかし、NEW YORKには一度も行っていなかった。

「最近の若いもんは(でたーーーっ)バーチャルだとか言って擬似体験ばかり身について実態が伴なっていないんだよ」と批判してきたけど、NEW YORKに関しては自分自身が将にそれだった。 多分、今後も自分一人だけでは行かないだろうし、冥土の土産としてエイっとばかりに泉水君の言葉に乗ることにした。今こそ、バーチャルから実体験だ。

それからの泉水君の行動の素早いこと。尻を叩かれてようやく、このゴールデンウィークに同じくドラムの西浦君と三人で成田から機上の人となった。

シカゴから乗り換えて到着点はもう目前だ。夕陽に照らされる摩天楼(手垢のついた一寸気恥ずかしい言葉もここなら素直に使えそうだ)、将に立錐の余地無きが如し。いや、超高層ビルが地面からこちらに向けて錐が立っているが如くと言えよう。それらが皆、黄金色に輝いている。

いよいよNEW YORKである。

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こうして『紐育紀行』は始まった。4月28日から5月3日まで、ニューヨーク5泊とシカゴ1泊の旅路だ。

訪れたライブハウスは次の9つ。

・Iridium
・Lincoln Center
・Birdland
・Smalls
・Stomp
・Village Vanguard
・Jazz Standard
・Garage
・Andy’s(シカゴ)

聴いたバンドは全部で12バンドであった。

この旅を通じて自分の中で大きな収穫があった。Jazzはこうあらねばならぬ、という変な自縛があることに気がついたのだ。

NEW YORKでは”Jazzはこうあるべき!”なんてことはお構いなしに、いろんなJazzの姿が存在していた。自由さと闊達さがそこには在った。小屋はいつでもどこでも日本のJazzミュージシャンが羨むほどのお客が押し掛け、そのいろんなJazzに心を委ね拍手を送っていたのである。

良く文化は行き着いた果てにその痕跡が残ると言う(例えば昔の言葉が九州の田舎に残っているとか言うように)。つまり、小生のJazzの概念は田舎の雅な言葉の痕跡なのではないか・・・?と、気付かされたのだ。そういう意味では、目から鱗の旅であった。

また、NEW YORKはバンドのみならず、往来の人々からも「他人がどう言おうとも自分はこう思う」という主張が強く感じられた。暑い日も寒い日もあったが、道行く人の服装は本当に千差万別、Tシャツあり、ダウンあり、周りのことなど気にしないのである。もちろんファッションだけではなく、歩き方や素振りなどからも「自分のやりたいのは、言いたいのは、行きたいのはこうだ」という主張が溢れていた。

「自分の信念を持ったら、ぶれずにやり遂げる。」

これも大きな収穫であった。

これからも小生は自分の進みたい方向にまっすぐ進んでいこう、そう決意を新たにした旅路であった。

<No.2へ 続く>